ソウルではある大学の非常勤講師をした。
宿舎は初め、大学の職員寮に入ることになっていた。ところが、2人部屋だということがわかり、断った。
そうしたら、下宿があるという。個室だが2食付、トイレと風呂は共同だという。それでここも断った。
次に提案されたのは大学の近くの「旅館」である。ベーシックな設備はあり、プライバシーも尊重されるということでそこに決めた。
行ってみるとたいへん簡素だが、清潔だし、風呂やトイレもちゃんとしているので満足した。
月曜日から木曜日までは特に問題なく過ぎた。毎晩私は熟睡した。
ところが、金曜日の夜、いつものように午後12時近くの時間に眠ろうとすると…ベニヤ1枚の壁の向うから、隣室のなにやら非常になまめかしい声が響いてきた。
おじさんは一人悶々と眠れぬ夜を過ごすこととなった。翌週から週末は耳栓をして寝ることにした。
