学校法人朝日学園 明生情報ビジネス専門学校

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カザフスタン最悪の日

 最悪の日も、アウトドアに関わる。ある日曜日、私はマウンテンバイクで、アルマティ郊外にあるコクトベの丘に行った。都心から自転車で30分くらいの行くと風景は一変する。そこは完全な農村。つづら折の山道をのんびり登る。しばらく登っていくと道の上に乳牛が群れている。私がそばへ寄ると、ゆっくりとよける。なんとも牧歌的。小一時間も登ると頂上に着く。うちで地図を見ていて、ここに来ればアルマティ市の南にそびえるザイリスキーアラタウ山脈が一望できるのではないかと期待していたが、実際は森の中で眺望はなし。がっかりする。さらに悪いことに、空が突然曇り、雷鳴が轟いて大粒の雨が降ってきた。まもなく篠突く大雨となる。雨具を持ってこなかったことを後悔する。アルマティは札幌と同じ緯度で、夏でも雨のときはけっこう寒い。大きな木の下で震えながら雨宿りをする。しばらくして雨が小降りになったのでもと来た道を下り始める。私の自転車には泥除けがついていない。だから、雨の日は、回転する前後ろのタイヤが道路の泥を巻き上げ、私は泥まみれになってしまう。この日も、小一時間かけて登ってきた山道を下り始めると、あっという間に泥まみれになった。でも、まあ、それはいつものこと。寒さに震えながら下り続ける。泥と雨が顔に吹き付けてくるので、前を見ていられない…あるカーブを曲がると、目に入ったのは、さっき牛がたくさんいたところだった。私は、高速で下り続けた。そして、目の前の地面に…牛のフンがたくさん落ちているのに気づいた。近すぎてもうブレーキをかけても間に合わない。私は悲鳴を上げようとしたが、そうすると「あれ」が口の中にまで飛び込んでくることに気づき、あわてて口をつぐんだ。

荒川友幸
日本語教師養成科主任
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